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Laravel のコレクションメソッドは切り分けたほうが良いかもしれない

  1. 本記事で言いたいこと
  2. 解説中で使う変数とメソッド
  3. メソッドの簡単な解説
  4. コードを書いてみる
  5. 結論
  6. 参考

本記事で言いたいこと

  • やりたいことに合わせてメソッドは切り分けた方が、わかりやすいと思う。
  • でもやり過ぎると、やっぱりわかりにくいかもしれない。

解説中で使う変数とメソッド

$books = collect([
    ['id' => 1, 'title' => 'How to Programming', 'is_english' => true, 'price' => 100],
    ['id' => 2, 'title' => '堅牢なシステム構築', 'is_english' => false, 'price' => 200],
    ['id' => 3, 'title' => 'Be Good at Function', 'is_english' => true, 'price' => 300],
    ['id' => 4, 'title' => 'Laravelコレクション入門', 'is_english' => false, 'price' => 400],
    ['id' => 5, 'title' => 'Love beautiful code', 'is_english' => true, 'price' => 500],
]);

// Slack通知を行う
// 今回は便宜上、渡された文字を出力するだけ
function toSlack($word)
{
    echo $word;
}

// IDと値段を登録するAPI
// 300円以上は登録に失敗する仕様
function callRegisterApi($id, $price)
{
    return ['succeeded' => $price > 300 ? true : false];
}

メソッドの簡単な解説

each()

役割

  • コレクションのそれぞれに対して、何かの処理を実行する。
  • 返り値については気にしなくてよい。

$books のタイトルをslack通知する

$books->each(function (array $book) {
    toSlack("{$book['title']}の値段は{$book['price']}です");
});

コードを呼んでいる時に each() を見ると「この処理は返り値について考えなくて良いんだな」と思うので、割と心が安心します。 それだけに use ($results) など見たら「なぜ map() とかでないのだろう…?」と身構えながら読むことになり、基本辛いです。

map()

役割

  • コレクションから、別のコレクションを新しく作る

本に「税込み価格」を加えた、新しいコレクションを作る

$withTaxBooks = $books->map(function (array $book) {
    $book['with_tax_price'] = $book['price'] * 1.08;
    return $book;
});

コードを呼んでいる時に map() を見ると「この処理は何か新しいコレクションを作ってるんだな。じゃあ何を作ってるんだろう?」と思い、それを主眼において読み進めます。

そう思って読み進んでて「結局 API をループして呼ぶだけだった」となったら、すごいがっかりします。

filter()

役割

  • コレクションを、とある条件で選別する

英語の本だけを抽出する

$englishBooks = $books->filter(function (array $book) {
    return $book['is_english'];
});

何かの処理を実行する際に、あらかじめ条件が分かっているなら、filterで処理に渡すものを減らしてほしいです。 例えば下記のコードになると、「1つのメソッドに2つのことをやるのでなく、あらかじめ filter を使って欲しいな〜」と思います。 (ケースバイケースではあるのですが…)

$books->each(function (array $book) {
    if ($book['is_english']) {
        toSlack("{$book['title']}の値段は{$book['price']}です");
    }
});

コードを書いてみる

実際に each() だけのものと、複数のメソッドを使ったものの2つを見てみましょう。

eachで全部やる

$results = collect();
$books->each(function (array $book) use ($results) {
    // 英語の本を登録対象とする
    if ($book['is_english']) {
        $result = callRegisterApi($book['id'], $book['price']);
        // 登録に失敗した場合
        if (!$result['succeeded']) {
            // slack通知を行う
            toSlack("{$book['title']}の登録に失敗しました");
            // 失敗したIDを保存する
            $results->push($book['id']);
        }
    }
});
// 登録に失敗した本のIDを出力する
var_dump($results);

each() の中で色々と頑張ってます。 実際に書いてみると、if 文のネストがあるものの、そんなに可読性が悪いというものではありません。 本当は「each文で頑張ると良くないよ〜」と言いたかったのですが、正直このくらいの量だったら問題無いような気がしますね。

複数のメソッドに切り分ける

// 英語の本を登録対象とする
$englishBooks = $books->filter(function (array $book) {
    return $book['is_english'];
});
// 登録結果をコレクションとする
$results = $englishBooks->map(function (array $book) {
    $result = callRegisterApi($book['id'], $book['price']);
    return ['id' => $book['id'], 'title' => $book['title'], 'succeeded' => $result['succeeded']];
});
// 登録結果から失敗したものを抽出する
$failedResults = $results->filter(function (array $result) {
    return !$result['succeeded'];
});
// 登録に失敗した本のタイトルをslack通知する
$failedResults->each(function (array $result) {
    toSlack("{$result['title']}の登録に失敗しました");
});
// 登録に失敗した本のIDを出力する
var_dump($failedResults->pluck('id'));

全ての処理をコレクションメソッド毎に切り分けたのがこちら。 正直 each() で頑張ってたものより、可読性が悪くなっているような…。

ただそれは「今回のケースだと」という前置きがつくと思っています。 ある程度コードの規模が大きくなってくると、こっちの方がテストのしやすさや if 文の少なさという部分で軍配が上がるかなと。

あとメソッドを使い分けると、それに合わせて考えることも分かれるので、実装のための頭の整理になるというメリットもあると思います。

結論

「何がなんでもメソッドを分けたほうがいい」という訳ではないけど、出来る限りで使い分けたほうが何かと良さそう

参考